英語翻訳者への道〜これだけは知っておかなきゃ!〜


英語翻訳者への道Part 1

翻訳技術を身につけたいという夢を抱きする方もいらっしゃると思います。また、英語の勉強の一環として翻訳の勉強をする人も多く見られます。翻訳の勉強のためには多くのステップがありますが、まずは英語を日本語に翻訳するところから慣れていきましょう。英語でビジネスを使う場面が多い方などは、英語文書を日本語にして伝える場面はもちろん、その逆も多いはずです。

私も社内公用語が英語の楽天株式会社の国際部で働いていたため、そのスキルの重要性を理解しています。ぼろぼろのTOEICからどのように勉強したのか、これから英語を仕事で使う場面がある、英語を使ってビジネスをしていきたいと考えている人は参考にして頂けると嬉しいです。まずは英語を日本語に訳す場合の注意しなければならない点について覚えましょう!

major error, 変換ミス、訳抜け、読み違いの確認

翻訳の作業は基本的に3段階のプロセスになります。

1.英語を日本語にざっと訳した訳文の下書きを作成
2.その下書きを原文に照らし合わせて抜けている部分や読み違いがないかを確認
3.最後に訳文を日本語として読みやすくする

読み間違いの例は以下のような場合です。

Our new product is consistent to JADA products
誤:「弊社新製品はJADA製品で構成されており」

これは何が間違っているかわかりますか?

consistent to ~ :「~と一貫している」という表現を
consist of ~ : 「~で構成されている」
この表現と読み間違えてしまっている例です。

正しくは、「弊社新製品はJADA製品と一貫している」となります。もう1つの例はこれです。

We will base a new policy on the audit results.
誤:監査結果についての新たな方針をおく。

これは前置詞onのかかる場所を取り違えています。正しくは、「監査結果に基づいて新たな方針を決定する」となります。このようにちょっとした読み違いで意味は大きく変わってしまうため、ざった訳した後には必ず原文と見比べるという2つ目のステップが重要です。

こう伝えると、中には最初の訳文の段階でかなり慎重に訳す方がいますが、それだとかなりの時間がかかってしまうため、まずはざっと訳し、その後に原文と照らし合わせるというステップをおすすめします。

主語は場合によっては訳さない

これは意外に思う方も多いと思います。しかし日本語の場合は主語を訳さない方が自然に読める文章が少なくありません。そして特に「あなた」が訳文に多すぎると、かなり直訳している雰囲気が伝わってくる文章になってしまうため、ビジネスの場合などには適しません。

After you open your file
誤:あなたがあなたのファイルを開いた後で

これは直訳しすぎですよね。この場合は、「ファイルを開けられた後で、」という形のほうが自然に読むことができます。無理に全てを訳そうとすると不自然になってしまうので気をつけましょう。

カタカナの使い方

これは結構質問を受ける部分です。例えば、inspireという言葉を訳すのに「インスパイアする」とカタカナを使って訳していいのか、という点です。ここはどれだけその言葉がカタカナで日本語に定着しているか、という部分が重要になります。もちろん「インスパイア」などは日常の日本語の会話でも使うので問題ありません。無理に「鼓舞する」のように訳してしまうと、自動翻訳ソフトなどで訳したのかな、と思われてしまいやすいです。

英語翻訳者への道Part 2

Part1に続き、英語を日本語に訳す場合の注意点について覚えていきましょう!

訳語の選択

これはどういうことかというと、複数の意味を持つ単語の場合、適切な意味、訳語を選択して訳せているか、という注意点です。

(例)development の訳語例
To save your development time
(プログラム開発に関する文書で) 進展の時間を節約できるように=>開発にかかる時間を削減できるように

We need to develop an implementation guide.
実施ガイドを展開する必要がある=>実施ガイドを作成する必要がある

このように複数の意味を持つ単語を訳す場合は文脈に合った適切な訳語を選択するように注意しましょう。

直訳調になりすぎていないか

これは最初のときはかなり苦労する部分です。どうしても最初は文法に忠実に直訳してしまいがちです。気をつけなければいけないのは、最後のステップである「訳した日本語を読みやすい日本語に修正する」という部分です。

This document is designed to help you understand how you could make a claim.
直訳調:この文書はあなたがクレーム方法を理解するのを助けるためにデザインされています。
修正案:本書はクレーム方法をご理解いただけるように作成されています/クレーム方法をご理解いただくために本書は作成されています。

This will help the department of education to improve the reliability of this test.
直訳調:これはこのテストの信頼性を改善する教育省の手助けをすることができる。
修正案:これは教育省がこのテストの信頼性を改善する上で役立つ/効果的であろう。

また英語では higher や stronger となっていても、文脈によっては日本語では「増加」「上昇」「向上」などとした方が自然な場合もあります。
(例)20% higher
20%高い=>20%増加

stronger growth in…
…のより強い成長=>の成長率の上昇

stronger performance
より強いパフォーマンス = >パフォーマンスの向上

英語では現在形になっていても、日本語では現在形でない方が自然な場合もあります。
(例)Our new product sets a new standard.
弊社新製品は新たな基準となっています=>弊社新製品は新たな基準/水準を確立しました。

長過ぎる文章は短く

whereやwhich、thatなどで1文がかなり長くなっている英語があります。最初は純粋になんとかがんばって1文の日本語に訳してしまうのですが、これは適当なところで切っちゃいましょう。意味が伝わりにくくならない程度なら、もともと1文のものを2つ3つに切っても問題ありません。

短すぎる文章は長く

さっきと言っていることが逆じゃないか!と言われそうですが、まずは例文を見てください。例えば、But ではじまる文章でも、直前の文章が短い場合には、直前の文章の文末に「が」を つけて2つの文章をまとめた方が日本語らしく、また流れがよくなる場合もあります。

(例)I submitted the application in July. But the authority hasn’t got back to me yet.
7月に申請書を提出しました。しかし管轄当局からまだ連絡がありません。
7月に申請書を提出しましたが、管轄局からはまだ連絡がありません。

このように英語は2文でも、日本語の繫がりを考えると1文でまとめてしまったほうがすっきりする場合もあります。

日本語の確認

正確に訳されている文章でも日本語がうまく書けていないとそれだけで読みにくくなってしまいます。気をつけてほしいのは2点です。

1.読点を多すぎないように注意
2.語順に注意

1はわかりやすいですね。「、」を多く入れすぎてしまうと切れ目が多くなってしまうため、文章が読みにくくなってしまいます。いらない部分の「、」は削除してしまいましょう。

2は日本語として読みにくい場合には語順が原因になっている場合があるということです。たとえば場所や年月を最初に持ってくるだけで読みやすくなる場合もあります。

次のように主語を先にした方が読みやすくなる例もあります。
Instead of calling her on her home number, Tom wrote to her.
彼女に電話する代わりにトムは彼女に手紙を書いた=>トムは彼女に電話する代わりに手紙を書いた。

さあ、基本的な注意事項はこれくらいにして、次は更なる実践へいきましょう!

英語翻訳者への道Part 3

Part1, 2では基本的な大雑把な気をつけなければならない点についてまとめましたが、ここでは翻訳全体の流れを見ていきましょう。

まず全体を見るべし

これは翻訳に限らず、TOEIC、TOEFLなどのテストにも共通するところですが、頭から一生懸命読むのは時間がかなりかかってしまいます。翻訳に関しては、まずは全体をざーっと読み、わからない専門用語がないを確認します。

そのような用語がある場合は、実際に訳す前に、まずその単語の意味するところをしっかりと調べましょう。専門的な単語の意味を間違えてしまうと、知っている人からするとそのミスが目立ってしまうんです。そのためまず最初に専門用語を要注意して確認するようにしましょう。

文章構成のチェック

翻訳した文章を見たときに3つチェックするところがあります。

  1. 長過ぎる文章はないか
  2. 短すぎる文章はないか
  3. 訳し漏れがないか

1は、長過ぎてしまう文章は2つに区切ってみましょう。2つに文章をわけることで読みやすくなるものもあります。実際の文章が1文でも、翻訳してそれを2文に分けて意味が変わらなければ問題ありません。そのままのスタイルを維持して翻訳することが重要なのではなく、翻訳後の言語でわかりやすい状態に作り上げることが重要です。

2も同様の理由で、短すぎる文は続きの文章と繋げてしまっても問題ありません。もちろんそれによって意味が大きく異なってしまってはいけません。

3も気をつけないとよく起こります。訳し漏れがあると、情報として不十分な状態になるためNGです。しかし、人間誰しもミスはあるため、必ず漏れがないかを本文と照らし合わせ確認することが必要です。

最後の最後にもう1回

さらにもう1度全体を確認しましょう。これをせずに提出してしまうと、後から多くのミスが発見されることがあります。用心深く確認しましょう。最後の確認として主要なものが以下になります。

  1. 時制に不自然はないか
  2. 専門用語は明確に訳せているか
  3. フォントサイズなどの書式は統一されているか
  4. 誤字、脱字はないか
  5. 訳した文章を読んで不自然な点はないか

この5点を確認できれば、ミスの少ない質の高い翻訳に近づけるはずです。次は知識のない専門用語にどのように対処するかを確認していきましょう。

英語翻訳者への道Part 4

翻訳者への道Part4として、新しい用語に出会った時の対処をまとめていきます。

武器を用意しておこう

わからない用語が出てきたときに何を使って調べるのかあらかじめブックマークなどでまとめておきましょう。私がよく使うサイトは以下のようなものです。

http://www.proz.com/search/
http://www.wordreference.com/enja/system
この2つは専門用語がどのようなカテゴリーで、どのような意味で使われているかを調べてくれます。

ここでしっかりと専門用語に関して調べることは必要なことです。しかし、翻訳は全ての単語を訳すために存在しているわけではありません。もしそうであれば、機械翻訳で十分なはずです。そうではなく、私達が人間を翻訳する意味は、文脈や背景を理解した意味になるように訳すことができる点です。

We secretly like being yelled at.Cheesy commercials dislodge us from couch-potato stupors. They get our attention.

たとえばこの文章。New York Times からの抜粋。あなたはこのcheesyをどのように訳しますか?勘で訳すのではなく、上記のサイトを参考にして調べてみましょう。きっと文脈に合う意味が見つかるはずです。

英語翻訳者への道Part 5

翻訳者への道Part5では、どのように翻訳後の文章を自然に読めるようにできるかです。

英語を意識しない

もちろん日本語に訳す際は英語を読むので意識しなければならないですが、そのままの文章だとかなり直訳風な文章になってしまうんです。たとえば、「much more difficult than usual」という文章を「いつもよりもとても難しい」と訳すのは直訳です。場合によっては「いつも以上に難しい」とした方が意味はそのままにスッキリするかもしれません。

英語をそのまま訳すのではなく、母国語である日本語で読みやすい形にしてあげることがとても重要です。そうでなければ、せっかく自分でがんばって訳しても、Google翻訳などの自動翻訳のような文章になってしまいます。

日本語の理解

たとえば専門用語であったり、方言などを知らずに訳すことは、非常に危険です。普通の人はごまかせても、その言葉を知っている人が見るとすぐにわかってしまうからです。

しかし、それを防ぐために全ての用語を知っていたり、各方言をマスターするなんてことはしなくて大丈夫です。大切なことは、自分の知らない言葉が出てきた際は、インターネットで検索し、その言葉に含まれる背景などを理解することです。

時間をかけて調べる必要はありません。まずは軽く調べて全体像を理解するようにしましょう。何も調べずに翻訳をする翻訳者はいません。必ず自分の知識不足を補いながら訳しています。

訳し終わったら

必ず読み直してください。必要があれば声に出して一番上から下まで読んでみてください。自然に読むことができなければ、まだ訳が直訳調で不自然になっている可能性があります。

読んでもらいましょう
時間に余裕がある時は、日本人の友達に自分の訳した日本文を読んでもらいましょう。少し恥ずかしいかもしれませんが、翻訳が終わったことに満足している自分では気づけないミスがよく見つかります。

大切なことは、単語を直訳でそのまま訳すことではなく、日本語として読みやすい形で仕上げることです。

英語翻訳者への道Part 6

翻訳者への道Part6では、翻訳した文章に対する修正のステップについてまとめています。英語で言うと『revise』という作業になります。

大雑把に訳した文章へのチェック

訳し始める際、最初は大雑把に全体を訳していきます。もちろんそのままでは読みにくいため、修正していけなければなりません。修正する際のチェックリストは以下のようになります。

□全ての言葉は訳されているか。
□原文の意味を伝えることができているか。
□文章のフォーマットが原文の形のまま維持できているか。
□専門用語を正確に訳せているか。

この4点を確認し、最初のreviseを行っていきます。

読みやすさの確認

最初のreviseが終わった後、確認しなければならないのは読みやすさです。確認するチェックリストは以下のようになります。

□全体を通して意味が通じるか。
□直訳調になりすぎていないか。
□文章間の繫がりは自然か。
□段落ごとの繫がりは自然か。
□読みにくい文章はないか。

上記に該当する文章は訳せていても日本語として読みにくいということなので、自然に読めるように修正を施していきます。これが2回目のreviseになります。

最後の修正

最後の修正は2点をしっかりと確認しましょう。

  1. スペルチェック
    wordやpagesにはスペルチェック機能がついています。誤字脱字がないかをこれで確認しましょう。
  2. 声に出して読む
    声に出して読むと読みにくい部分がすぐにわかります。訳し終わったあと、少し時間を置きフレッシュな状態で読んでみましょう。

一回の翻訳で完璧にできることはありません。何度も修正を重ね読みやすい文章になっていきます。そしてそれは徐々に慣れ、スピードアップしていきます。最初は大変ですが、しっかりと取り組んでいきましょう。

翻訳者への道Part1~6までがしっかりとできれば、いままでの翻訳の何倍も読みやすいきれいな文章になるはずです。あとはどれだけの量をこなすかなので、たくさんの英文と触れ合うようにしましょう。