アイルランドと宗教


宗教。日本にいるとあまり意識することがないという方も多いのではないでしょうか?実際以前の私は意識することはほぼありませんでしたが、留学で海外に住んだことがきっかけで興味を持ち意識するようになりました。考え方の根本にあるものですので、訪れた国の宗教について知ることはとても役に立ちます。

アイルランドは国家としては宗教に中立的な立場をとっていますが国民の約85%はカトリック。無宗教、プロテスタントが各約5%で約2%がイスラム教徒。プロテスタントはアイルランド国教会や長老派教会、メソジストに分かれます。アイルランドというとキリスト教のイメージが強いですが、近年のイスラム教徒の増加に伴い、約20年前にはダブリンにモスクが建てられました。

目次:宗教別簡易解説

  1. ローマ・カトリック
  2. アイルランド国協会
  3. 長老派協会
  4. メソジスト

ローマ・カトリック

まずは大部分を占めるカトリックについてです。みなさんご存知の通りカトリックは世界12億人が信仰するキリスト教最大の教派です。ローマ教皇を中心とすることからローマ教会、ローマ・カトリック教会と呼ばれています。カトリックの教えは旧約聖書と新約聖書、イエスキリストとその使徒の教えに由来し、多くの公会議(有名なものにはトリエント公会議は第2バチカン公会議等がありますね)の中で教義の見直しと確立が行われてきました。

アイルランドにおけるカトリックとしては、5世紀に聖パトリックによって広められたことが始まりです。中世にアイルランドがイギリスの支配下に入った際には弾圧、閉鎖された時代もありましたが、1922年にアイルランド自由国が成立したことでカトリックに対する差別等もなくなりました。

アイルランド国教会

アイルランド国教会は主に北アイルランドとその国境付近のアイルランドで信仰されています。(北アイルランドの国民におけるカトリック教徒の割合は半数にも満たないと言われています。)

ほかの聖公会各派と同様にカトリックとプロテスタントの中間的な教義であるとされていますが、アイルランド国教会は特に「アイルランドの古伝・公同(カトリック)・使徒継承教会(the Ancient Catholic and Apostolic Church of Ireland)」と「改革されたプロテスタント教会(a reformed and Protestant Church)」の2つの要素で形作られているとする独自の解釈をもちます。

イングランドの教会がイングランド国教会としてカトリックから独立した際、アイルランド内の教会も同様に教義が変更されプロテスタント化しました。国教会はアイルランド人の大半がカトリック信仰を忠実に守っていたにもかかわらずアイルランドの国教と定められることとなります。その後もアイルランド内では少数派でありながらも、イギリス支配下に置かれ廃止されるまで国教の地位にあり続けました。

長老派教会

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キリスト教の一派である長老派教会。キリスト教のプロテスタント、カルヴァン派の教派に位置付けられ、長老教会、長老派、日本以外の漢字圏では長老教とも訳されることもあります。

歴史の長いプロテスタントの一派で、16世紀のスイスの宗教改革において長老が教会を運営するというカルヴァンの長老制が採用されたことが始まりの教派です。やがてスコットランドで広まった際に「長老派」を名乗るようになりました。アイルランドにおける長老派教会の流れとしては、ジェームズ1世(イギリス、アイルランド、スコットランドの王)がスコットランド人の長老派をアルスター大農園に入植させ、1641年、アイルランドのカトリック教徒はプロテスタントを殺害、1642年、スコットランドが入植者保護のため送った軍隊から最初の中会が生まれ、このことが後の北アイルランド紛争に繋がったとされています。

メソジスト

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メソジストは、日課を区切った規則正しい生活方法(メソッド)を重んじることから「几帳面屋」(メソジスト)とあだ名されたことに始まりました。規則正しい生活が実践できているかどうか互いに報告し合う少人数の組会、また、信仰のレベル別のバンド・ミーティングを重視したそうです。このため軍隊や学校と相性がよく、ミッションスクールや病院の建設、貧民救済などの社会福祉にも熱心で、恵まれない子供たちへ教育を与える日曜学校も元はメソジスト教徒が中心であったといわれています。

メソジスト運動は、本国イギリスでは大きな勢力にはなりませんでしたが、アイルランド、アメリカ、ドイツなどに早くから布教し、メソジスト教団は、なんと現在アメリカでは信徒数が2番目に多いプロテスタント教団にまでなりました。