アイルランド島の地形形成の歴史


本日はアイルランド島の地形形成の歴史について取り上げてみたいと思います。

目次:アイルランド地形形成の歴史

  1. 17億年前に端を発したアイルランドの地
  2. 4億年前のアイルランド島
  3. 2500年前のアイルランドの姿

17億年前に端を発したアイルランドの地

最も古いアイルランドの岩石は約17億年前のものと言われており、ドニゴール州のイニシュトラフル諸島やメイヨー州の北西端アナ岬から発見されました。

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ドニゴール州の他の地域では、科学者によって氷河堆積物であった岩石が発見され、今のアイルランドとなっている地域が氷河期には氷河に囚われていたことがわかっています。しかし、その後の隆起により、これらの古い岩石層を正しく並べることは不可能に近く、はっきりとしたことが分かっていないのが実情です。

そして11億年後という途方もない年月が流れ、6億年前の先カンブリア時代が終わると、アイルランドの大地はイアペタス海の西の半分と残りの東半分の2つに裂かれたのですが、どちらも南緯80度あたりに位置し、その近くには現在の北アフリカが存在したと推測されます。ウィックロー州のブレイ岬から発見された化石から察するに、アイルランドは当時海面下にありました。

次の5000万年の間にかけて、これら2つの部分は互いに向かって漂流し、結果として4億4000年前に繋がったのです。ラウス州クローガーヘッドで発見された化石によって、元々2つを分けていた海の両側から、動物相が共に近づいていったということがわかっています。北アイルランドの山々はこの衝突で形成され、ドニゴール州とウィックロー州で発見される花崗岩も同じく形成されました。

アイルランドの大地は、この時には海から顔を出し、赤道付近に位置していました。陸上で生活する生物がこの時期から生息しはじめたことが化石からもわかります。

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自然豊かな美しいキルケニー州に存在する化石化した樹木や、大きく広がった骨の多い魚、淡水二枚貝、そしてケリー州ヴァレンティア島の粘板岩に保存された4足歩行する両生類の足痕といったものも有名な痕跡として残されているのです。

4億年前のアイルランド島

前回ご紹介した初めて陸上生物がアイルランド島に登場した後の、4億年前から3億年前の歴史を紐解いていきましょう。同時代にはアイルランドを含む北ヨーロッパは暖かくカルシウムの豊富な海に沈み、大きなサンゴ礁が形作られました。現在の地質の65%を占める石灰岩が形成されたのもこの時代です。水が引くと熱帯的な森と沼地が多く残り、これらの植物の残骸が石炭となったのですが、その多くは後に侵食されてしまいました。

この時期は、石炭紀としても知られ、大陸の変動によって終わりを迎えたのです。アイルランドは北に向かって移動し、これによる圧力によりアイルランドを北から南に貫く数々の山や丘が形成されました。220px-Burren2

2億5000年前までにはアイルランドは現在のエジプトあたりの緯度に到達し、砂漠気候となりました。この時、石炭と石灰石の多くが侵食されたのです。南部の薄い石灰岩地層はこの侵食の影響を顕著に受けています。砂岩層の消失によって地表に晒された石灰岩は、二酸化炭素などと反応し、カルスト地形を形成しました。

現在でもクレア州のバレンで見ることができます。そのすぐ後、アイルランド周囲の生物死骸が天然ガスと石油鉱床と成り始めました。このことは現在のアイルランド経済においても非常に重要な役割を担っています。そして、1.5億年前、アイルランドは再び沈み、この際に表面の多くを覆うチョーク岩が形成されたのです。この痕跡が、北部で発見された玄武岩溶岩層の下にいまだに残っています。

それからさらにおよそ1億年の年月が経ち、6500万年前に溶岩層を作った火山活動が始まり、北部のモーン山地などの山々が形成されました。この時期の気候は温暖で、植物が大きく繁殖しました。アントリム州の窪地の植物死骸は褐炭を形成し、これは現在まで触れられることなく残っています。温暖な気候による降水によって、カルスト地形の侵食プロセスが進んでいきました。

2500年前のアイルランドの姿

この時代のアイルランドの地は現在の位置の近くに位置していたと考えられています。長く続いた侵食によって、かなりの土壌が形成されることとなり、岩石層は覆われました。水はけの良い土地では茶色もしくは灰色の土壌から成りたち、逆に悪い土地では黒粘土が支配的でした。気候が寒冷化するのに伴ない、土壌の形成は速度を落とし、植物と動物が現れ始めました。

300万年前までには、現在のアイルランドの地形がある程度出来上がったと考えられています。
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170万年前、地球は間氷期と氷河期を繰り返していたが、当然この影響はアイルランドにも及びました。この影響の最も古い証拠は、Ballylinian間氷期として知られる百数十万年前のものです。

この時に、現在アイルランド原生植物と考えられている樹木のほとんどが既に確立されていました。氷河期における氷の動きが、現在のアイルランドの地形形成の大きな原因となりました。地表上の氷による明らかな影響としては、ウィックロー州のグレンダーロッホのようなU字谷や圏谷、氷河湖といったものが挙げられます。
溶けていく氷の下で削り取られた岩石等の堆積によってドラムリンが形成され、北部中央域での主な地形的特徴となっています。

小川もまた氷の下で形成され、これらの川によって集められた岩石等はエスカーを築きました。これらの中で最大のものは、北部と南部を半分に分ける”エスカー・リアダ”であり、その尾根は東と西の海岸線を結ぶ主要道路として機能しています。海岸線の半分ほどは、Machairとして知られる、低い砂丘草原から成っているのです。

いかがでしたでしょうか?17億年という途方もない年月が徐々に徐々に現在のアイルランド島を形作り、素敵な自然環境や町並みの下にあるという事実に呆然としてしまいます。